映画

映画「ドライブ・マイ・カー」を40年来の村上春樹ファンが観て思ったこと。(ネタバレなし)

映画「ドライブ・マイ・カー」を観ました。海外の賞をたくさん取って、アカデミー賞までいただいて、ぼくは長年の村上春樹ファンなので、絶対に観たかった作品です。

でも実際観ると、うーん、70点かなー、という感想でした。よくできているとは思ったのですけど、何か違和感を持ちました。なぜだろうと考えて思い当たったことがあります。全くの私見ですけど、村上春樹さんの小説は、ファンタジーなんですね。ちょっとありえないような人たちが、ありえないような事件に巻き込まれる。ものすごくオシャレに描かれていますけど、西遊記のような冒険活劇で、それを楽しめば良いのです。その村上ワールドをああいう形でリアリスティックに描くと、嘘っぽくなっちゃうというか、「こんな人いないよなー」って思わされてしまうんです。

どうしたら良かったんだろう?ちょっと暴言ですけど、主役をですね、ウッチャンとかにしたら良かったと思う。もういっそ、キャスト全員NHKのコント番組「ライフ」のメンバー(星野源、ムロツヨシ、塚地武雄、田中直毅、石橋杏奈、西田尚美さんなどなど)でやったら、すごく味わいがあったんじゃないかって思います。亡くなった奥さんは江口のりこさん。ドライバーはもちろん、シソンヌじろうさん。(アカデミー会員のみなさま、ゴメンなさい。笑)そうすることで、この話はファンタジーなんだって楽しめたと思います。

もう一つ、別の角度から感想を述べますね。村上春樹さんはビートルズが好きなので、タイトルの “Drive My Car” は、ビートルズのアルバム・ラバーソール収録の同名の曲からヒントを得たのではないかと推察いたします。この曲、ビートルズにしては珍しく、韻を踏んでいて面白い歌詞なのです。

be と see
screen と between
car と star
baby と maybe
good と understood
fine と time

のように、各行の最後の単語が韻を踏んでいます。韻を踏む効果って色々ありますが、全く違うモノを音が似ているからとくっつけることで、意外性が生まれるのです。それで想像力がものすごく刺激されます。drive my car は、英語では性的な意味があって、歌詞は男女のちょっと意味深なやりとりというか、女性が男性を誘っているようにも聞こえるのです。この二人、いったいどんな二人なんだろう?って韻を踏んでいる効果もあいまって想像力が刺激さちゃう。村上さんもそうやって二人のプロフィールを考えたんじゃないかなーと思います。

そういうちょっと遊び心みたいなところから出発したのだとすると(かなり強引)、映画のように大真面目に撮らないで欲しかったなーと思ってしまったのでした。もちろん、アカデミー賞も取った作品ですから一見の価値はありますよ!付け足しみたいですけど。ほんとうに。

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ABOUT ME
つじもと ひでお
こんにちは、つじもとひでおです。大学卒業後、ビール会社に5年間勤めたあと、30年間、高校で英語を教えていました。部活動はジャズバンドの指導もしていました。現在も、新潟ジュニアジャズオーケストラで小学校から高校までの子どもたちにジャズを教えています。